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世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

山口周著「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?-経営における「アート」と「サイエンス」」を読了しましたので、今日はこの本から学んだことをまとめたいと思います📚

個人の備忘録としてですので、本の内容を全て網羅しているわけではないこと、個人的にビビッときた箇所のみの抜粋であることを前提としておりますので、悪しからず…

エリートが「美意識」を鍛えている理由

世界的に有名なグローバル企業などがアートスクールに幹部候補を送り込む、といった現象が多発しています。
その理由として、この本には

  • 技術の発達によって、「個性」や「差別化」が失われつつあること
  • 技術だけでは不確実で曖昧な問題に対応できないこと
  • 現代において、世界的な自己実現欲求・承認欲求が高まっており、それらを満たすには経営に美意識が重要だということ(人の気持ちは人がよくわかる)
  • システムの変化に技術が追いついていないこと(現行の法律を当てはめようとしても無理がある場合がある)

などを列挙しています。

技術が発達したおかげで受ける恩恵も多々ありますが、その弊害として、個性が失われたり、曖昧・複雑な問題に対処するには、美意識という人間の感性が重要になってくるのではないかと思いました。

(美意識を鍛える理由とは、)数値化が必ずしも容易ではなく、論理だけではシロクロがはっきりつかないような問題について、適時・適切に意思決定をするための究極的な判断力を鍛えるためだということなのです。

山口周著「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?-経営における「アート」と「サイエンス」」p.28

経営とは「アート(美意識)」「サイエンス(分析)」「クラフト(経験)」が混ざり合ったものである

では、「美意識」をどのようにして経営に盛り込んでいくと良いのでしょうか?

経営学者ヘンリー・ミンツバーグによれば、

経営とは「アート(美意識)」「サイエンス(分析)」「クラフト(経験)」が混ざり合ったものである

と主張しています。

これまでの世界は、サイエンスとクラフトを重視した経営でしたが、それだけだと先に話したように、差別化が失われ、自己実現欲求の市場では戦えなくなりました。まさにレッドオーシャンで戦わざるを得なくなるため、従業員も疲弊し、会社の成長も見込めません。
そこで注目されるのが、これまでサイエンスとクラフトに劣勢を強いられていた「アート」です。もちろん、アートだけだと、直感や感性に従うのみで、経営軸に根拠が生まれません。

ですので、ここでは、

アートを軸に、それを、サイエンスとクラフトが支えるような経営

を紹介しています。スティーブ・ジョブズが率いていた当時のアップルもまさにそのような構図でビジネスをおこなっていたようです。アート・サイエンス・クラフトのバランスは、現代においてとても大切なことなんですね。

日本は「恥」の文化

ちょっと脱線しますが、「うんうん」と頷いた箇所がありまして…。

この本では、日本は「恥」の文化であると紹介しています。
アメリカなどでは、告解によって罪が救済されていた「罪」の文化が根付いていました。

それと違い、日本にはそのような習慣はありませんでした。

すなわち、「恥」の文化では、たとえ悪行であってもバレなければ心配する必要がないという精神が根付いており、「恥」が行動を規定する軸である、と紹介されています。

現代においては、「会社」がその枠組みです。「会社」の中で「恥」とされることは、世間の恥であると捉える傾向にあるということです。実際にはそうではないとわかっていても、その規定から外れるということは、会社からの物理的・精神的追放を意味します。

その中でどのように戦えば良いのか?

この本では、

“自分が所属している「狭い世間の掟」を見抜けるだけの異文化体験を持つ”

ことが大切だと紹介しています。

目の前でまかり通っているルールや評価基準を「相対化できる知性」を持つ、ということが重要だ

山口周著「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?-経営における「アート」と「サイエンス」」p.151

私は現在個人事業主ですので、直接的には関係ありませんが、狭い視野で物事を考えるのではなく、いつでも広い視野を持って、自分に自問自答しながら生活していきたいなと改めて考えさせられました。

主観的な「内部のモノサシ」の重要性

これまで、経営の方向性を判断するとき、アンケートや市場の動向など「顧客」の意見が重要視されてきました。しかしこの本では、このことに疑問を呈しています。

市場が国内に限定されているのであれば良いかもしれませんが、現代は、「全地球的な自己実現欲求の市場」ですので、本当に「外部」の意見に委ねて良いのでしょうか?

ここで重要だと紹介されているのが、「内部のモノサシ」です。

「真」については「直感」、「善」については「倫理・道徳」、「美」については「審美感性」という主観的な「内部のモノサシ」への比重の転換が図られている

山口周著「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?-経営における「アート」と「サイエンス」」p.1 93

グローバルな競争力を保つためには、市場に従うのではなく、むしろ上から目線で教育する立場に立たなければならない。そのためには、「真・善・美」という「内部のモノサシ」への転換が必要になってくるというわけです。

編集後記〜GoogleがYouTubeを買収した理由〜

今回も長編になってしまいましたが、いかがだったでしょうか?

最後に、私がこの本で「そうだったのか〜」と感心したお話を紹介します。

GoogleがYouTubeを買収した当時、評論家からは、買収費用に見合った成果は見込めないと、至極真っ当な論理的意見が多数上がりました。


それに対してGoogleは、

「弊社のミッションは”世界中の情報を整理すること”であり、言うまでもなく動画は情報である」

とコメントしたそうです。

まさに、アートを主軸にした決断で、とても痛快でした。

理論武装した計算づくめの戦略が、人をワクワクさせることができるのか、甚だ疑問です。もちろん、最終的には経験や分析をもって脇を固める必要はありますが、「アート」という視点を経営に持ち込むことは、これからの時代の主流になることは間違いないと思いました。

今回も、ここまでお付き合いいただきありがとうございました😌

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